P4-その4 現在展開中の活動

わたしたちの国を守るだけだった自衛隊が、

武器を持ってよその国にでかけるようになります。

 

世界の平和を守るため、

戦争で困っている人びとを助けるため、と言って。

 

せめられそうだと思ったら、先にこっちからせめる、

とも言うようになります。

 

・現在展開中の活動

 

海賊対処活動

 2008年ごろから、ソマリア沖アデン湾で、武装した海賊に船舶が襲われる事件が増えました。国連安保理事会の決議に基づいて多くの国が軍艦を派遣したのに続き、自衛隊も2009年3月に護衛艦を派遣しました。同年7月からは、新たにつくられた海賊対処法に基づいて、他の国と協力して護衛艦による船舶の護衛と哨戒機による監視・警戒を行うようになりました。

 

 海賊対処法では、他の国の艦船を守ることや、停止命令に従わない船を停止させ るために、船体射撃など、武器を使用して相手に危害を与えることも認められま した。憲法第9条の「武力の行使」につながるおそれがあるとして、それまで海外で 行うのは認められていなかったことです。

  

 ソマリア沖での海賊事件の発生は2012年度から急減し、2015年度には発 生件数はゼロとなりましたが、いまも自衛隊は他の国の軍隊と一緒に海域の護衛 や警戒・監視活動を行っています。 

 

 資料

 ソマリア沖・アデン湾における海賊問題の現状と取組 (外務省) 

 

出典:防衛省ホームページ
出典:防衛省ホームページ

 

ジブチ―初めての海外拠点

2011年6月、アデン湾での監視・警戒のために、ソマリア隣国のジブチに海上自衛隊航空隊の活動拠点がつくられました。自衛隊の初めての海外拠点です。

ジブチ国際空港北側の土地約12ha(12万㎡)を借り上げ、約47億円を投じて司令部庁舎、隊舎、哨戒機の格納庫や駐機場、体育館などを建設しました。近くにはフランス軍と米軍の広大な基地があります。

 

この拠点には、いまも約180名の自衛隊員(海自約110名、陸自約70名)が常駐しています。

自衛隊の駐留にあたって、日本政府とジブチ政府との間には地位協定が結ばれました。

その内容をみると、自衛隊や海上保安庁は、「あらゆる形式の訴訟手続からの免除」「不可侵」など、治外法権ともいえる大きな特権を与えられています。

 

政府は、今後この拠点を海賊対処以外の目的にも活用することを検討しています。

 

南スーダンPKO活動

南スーダンは、長年続いた内戦を経て2011年7月にスーダンから分離独立した、世界で最も新しい国です。国連は、南スーダン独立にあたり、平和の定着と国づくりの支援を任務とするPKO活動(UNMISS)をはじめました。日本政府は国連の要請を受けて2012年1月から陸上自衛隊の施設部隊を派遣し、首都ジュバで道路や敷地造成などのインフラ整備を行いました。

出典:防衛省ホームページ
出典:防衛省ホームページ

ところが、2013年12月に、キール大統領派(政府軍)と、同年7月に解任されたマシャール元副大統領派(反政府軍)との武力衝突が起こりました。戦闘は各地に広がり、数千人の人が殺され、数十万人の避難民が出る事態となりました。翌年1月には自衛隊の宿営地周辺でも銃撃戦があり、隊員全員に射撃許可が出されました。このときは自衛隊の活動内容も、医療や給水、トイレの設置など、避難民の支援活動に変わりました。

 

その後も停戦合意と戦闘再開が繰り返され、2014年5月、国連安保理事会はPKOの任務の重点を「国づくりの支援」から「住民の保護」に移し、その任務を達成するために「必要なあらゆる措置をとる権限」(武力行使の権限)をPKOに与えました。政府軍や反政府軍その他の武装組織から住民を守るため、PKO自身が主体となって戦闘を行うことになったのです。

 

2015年8月の和平合意締結後も戦闘は続き、政府軍と反政府軍双方による住民の拷問や虐殺、レイプ、村落の略奪、病院や学校、国連施設への襲撃が行われ、多くの子どもが無理やり少年兵にされ、戦闘のなかで殺されています。国連の報告によれば、2015年に政府軍が優勢となってからは、政府軍や政府寄りの武装組織による住民に対する残虐な行為が急増しているということです。現在、住居を追われた人は200万人を超え、数万人以上の人が殺されています。

 

PKO参加5原則に照らしてみると、1の「停戦合意」も3の「中立」満たされていませんが、自衛隊はいまも南スーダンで活動を続けています。そして、昨年成立した安保法制が、今秋以降、南スーダンでの自衛隊の活動の内容を大きく変えることになるかもしれません。

 

注) 2001年の法改正で、要員の近くにいる人を守るための武器の使用も認められました。

 2015年の法改正で新たな任務として加えられた、住民保護のための「治安維持活動」やいわゆる「駆けつけ警護」では、「任務遂行のための武器使用」が認められました。ただし、正当防衛と緊急避難を除き、人に危害を与えることは許されていません。

出典:防衛省
出典:防衛省

2015年12月現在、ジュバでは、自衛隊のほかに、エチオピア、ルワンダ、ネパール、バングラデシュ、インド、中国、スリランカ、カンボジアの部隊が活動しています。

(この項続く)

南スーダンPKO関連の参考資料

 

国連安保理事会決議1996 2011年7月8日

 

国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への国際平和協力隊(施設部隊等)の派遣

2011年12月20日 外務省

 

THE PAGE 2014年1月14日

内戦危機の南スーダン、誰と誰がなぜ対立してるの?

 

国連安保理事会決議2155 2014年5月27日

  

産経ニュース 2014年6月27日 

異例の射撃許可「逡巡なかった」 

南スーダンPKOから帰還の井川派遣隊長「従来解釈では対応できない」

 

柳澤協二『自衛隊の転機―政治と軍事の矛盾を問う』2015年 NHK出版新書

 

自衛隊を活かす会 2016年1月31日 

南スーダン─。駆けつけ警護で自衛隊はどう変わるのか

 戦争現場の人々は日本に何を求めているのか モハメド・オマル・アブディン 

 

UNMISSにおける自衛隊の活動について 防衛省 2016年2月 

 

UN Daily News  2016年3月11日

p3-4 南スーダン現況に関する国連の報告の概要紹介。

 

CNNニュース 2016年3月12日 

国連、南スーダン軍の残虐行為を非難 住民殺害や強姦

 

NHKニュース 2016年3月12日 

国連 南スーダンは世界最悪の人権状況